『著作権・ソフトウェアライセンス・オープンソース』

可知 豊  [http://www.catch.jp/]

CopyRight 2002-2003 Yutaka Kachi

Ver1.1

Last Update : 2003-10-08

 無料で高機能なオフィスソフトOpenOffice.orgをたくさんの人が使い始めてます。
 このOpenOffice.orgは、オープンソースなライセンスに基づいて開発されています。
 さて、世の中には、オープンソースについての解説はたくさんあります。
 でも、ライセンスって何でしょう?
 これを理解するには、著作権について知る必要があります。

 

[目次]

[オープンソースとソフトウェアライセンスと著作権]

[著作権の基本]

[著作物の利用許可]

[ソフトウェアのライセンスと著作権]

[オープンソースライセンスと著作権]

[OpenOffice.orgのライセンス]

[著作権について考えよう]

主な更新

2002-12-22 0.0.1:公開
2002-12-30 0.0.2:著者名を変更
2003-01-26 1.0 :保護範囲と自由に使える範囲の解説を追加。
2003-01-28 1.0.1:最後のメッセージを追記
2003-10-08 1.1 :細かな修正

 

注釈

1-1:作品が著作権で保護される期間は、作者が個人であれば亡くなってから50年、団体であれば公表から50年となっています

著作権の保護期間は、どんどん変えられてきています。アメリカではミッキーマウスの著作権が切れそうになると、著作権が延長されると言 われています。この世界の動きに合わせ、日本でも保護期間を延長しようという動きがあるようです。これは、作者にとっては良いことですが、利用する側に とってはデメリットになるかもしれません。

1-2:「著作権法」は、著作権のための法律です

著作権法の詳細については、次のサイトに分かりやすい解説があります。

文化庁 「著作権 - 新たな文化のパスワード -」
http://www.bunka.go.jp/

著作権の考え方については、次のサイトに分かりやすい解説があります。

白田 秀彰 もう一つの著作権の話 --- 中学生、高校生のための著作権の基礎理論 ---
http://orion.mt.tama.hosei.ac.jp/hideaki/another.htm

さらに、著作権や知的財産の問題点について詳しく知りたい方には、次の本がお薦めです。

「CODE ― インターネットの合法・違法・プライバシー」
ローレンス レッシグ ・著, 山形 浩生 柏木 亮二 ・訳 翔泳社

「コモンズ」
ローレンス レッシグ ・著, 山形 浩生・訳 翔泳社

2-1:普通は、こちらの方法がとられます

実際の出版では、出版契約書にサインすることはあまりありません。マンガや文書を創作すること自体が、出版社や編集さんとの打ち合わせで進んでいくため、口頭で出版契約を結んだことになるのが一般的です。この場合も、複製権が自動的に出版社のものになる訳ではありません。

2-2:著作物の利用許可を得ると言うことは、印刷する許可や展示する許可・上映する許可を得ることになります

マンガを複製するには、著作権者の許可が必要です。でも、著作権法で利用許可の細部まで決まっている訳ではありません。例えば、マンガの原稿料は、法律では決まっていません。それは、当事者間の契約で決まるのです。
利用契約については、次のサイトに解説があります。

ZDnet「e-Business実践法律講座:第5回 利用規約とクリックラップ」
http://www.zdnet.co.jp/help/ebusiness/05/index.html


なお、契約さえ結べば、どんな内容でも従う必要があるってことではありません。契約がどこまで有効かは、著作権法だけでなく、民法および商法など色々な法 律が関わってきます。契約の当事者間で合意した条件であっても、それが「公の秩序」に関する内容であれば、法律の方が優先します(民法91条)。公序良俗 に反するような条項があれば、無効になります(民法90条)。
 しかし、この法律と契約の線引きが、けっこう難しいのです。どんなメディアでどんなふうに著作物を利用するかによって状況が変わってきます。場合によっては、裁判してみないと分からないってこともあります。

3-1:利用許諾の疑問点

長くなりすぎたので、別ページにしました。

3-2:未使用の商品を返品すれば、代金を払い戻してくれるのです

1999年にアメリカで、この条項を基に実際に返金してもらった人たちがいるそうです。Windowsがプレインストールされているパソコンを買って、そこからWindowsを削除して、利用許諾に同意しなかったとして、返金してもらったのです。

Windows返金運動NEWS(日本語)
http://www.linuxmafia.com/refund/japan/

Windows Refound Effort
http://www.linuxmall.com/refund/

 

5-1:雑誌や解説書に収録する場合も、特に許可を得る必要はありません

付録CD-ROMに、OpenOffice.orgを収録しているパソコン雑誌が増えてきました。
時々、このような雑誌の編集部から、OpenOffice.org日本ユーザー会にOpenOffice.orgの収録許可を求めるメールが来るんだそうです。
オープンソースソフトウェアでは、配布の際に許可を求める必要はありません。当然、OpenOffice.orgも収録許可は不要です。GPL/LGPLなど利用許諾をちゃんと読んでいれば、そこに書いてあります。
編集作業のルーチンワークの中で、収録ソフトの収録許可を得ることになっているのだと思いますが、案外こういうところでも利用許諾は読まれてないのかも知れません。

5-2:オープンソースライセンスにもグレーゾーンがあります

オープンソースなソフトウェアは、いつまでもずーっとオープンソースであると言われています。しかし利用許諾契約で、本当にそんな条件を設定できるのでしょうか。最初の著作権者が利用許諾を変えてしまえば、それは無意味ではないでしょうか。
 著作権では、オリジナル版の著作権者が、新しい利用許諾を設定する事が可能です。作成したソースコードをどのようなライセンスを適用するかは、著作権者 が決めることだからです。そのため、今までオープンソースライセンスが適用されてきたソースコードに、そうでない利用許諾契約を設定できるのです。
 もしも、以前に結ばれた利用許諾契約が、過去にさかのぼって変更ないとしたらどうでしょう。変更前に利用許諾契約を結んだ人は、新しい利用許諾が設定さ れた後も、以前の利用許諾契約のままです。そのために、古いライセンスに基づいてソースコードと修正版を配布できます。つまり利用許諾契約を変更した後 も、ソースコードはオープンソースのままなのです。
 と言うことは、一度オープンソースライセンスを適用して公開されたソースコードは、誰かが配布しようとし続けている限り、オープンソースのままなのです。

新しい利用許諾契約が設定さたら


 そのためには、修正版の修正版を利用する人が、オリジナル著作権者と利用許諾の契約手続きを省略できる必要があります。法律上、このような契約は可能でしょうか? このも、裁判でもしてみないと決着が着かないかも知れません。

 多くの場合、オープンソースなソフトウェアでは、開発のためのコミュニティが作られます。
 OpenOffice.orgの開発コミュニティもそうですね。
 オリジナル版の著作権者がオープンソースにしたという意志は、オープンソースなライセンスによって、誰かが継ぐことができます。もしも、このような保証がなければ、オープンソースソフトウェアはいつまでもオープンソースのままとは言えないかも知れません。
 とはいえ、誰も引き継ぐ気のないソフトウェアでは、そのコミュニティ自身が壊滅してしまいます。その場合は、オリジナル版の著作権者が、利用許諾を変更したとしても、たいした文句は出ないでしょう。

オープンソースについては、いろいろな人が発言しています。

日刊アスキーLinux【Linux Conference 2000 Spring レポート】オープンソースの意義を考える
http://linux.ascii24.com/linux/news/today/2000/04/21/440416-000.html

日刊アスキーLinux【Linux Conference 2002レポート】 ソフトウェアと社会
http://linux.ascii24.com/linux/news/today/2002/09/27/638879-002.html

MYCOM PCWEB 【Internet Week 2002レポート】オープンソースの法解釈と政府のオープンソース化
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/12/24/14.html

5-3:日本語で書かれたオープンソース利用許諾

 英語で書かれた利用許諾契約書は本当に有効でしょうか。
 オープンソースに限らず、利用許諾契約が読めない言葉で書かれていたら、その契約が有効かどうかわかりません。国外で開発されたソフトウェアの利用許諾 契約が英語で書いてあれば、それは有効でしょう。でも、日本国内で開発された日本人向けのソフトウェアであれば、その利用許諾契約は日本語であるべきで しょう。
 GPL/LGPLでは、英語の利用許諾契約書が正式な物とされています。日本語訳もありますが、それは参考訳になります。利用許諾契約を結ぶためには、この参考訳が示される必要があると思います。
 現実に、日本向けに開発されたオープンソースソフトウェアで日本語による独自の利用許諾契約を使っている例があります。日本医師会によるオンライン診療レセプトシステムを開発するORCAプロジェクトです。

日本医師会
http://www.med.or.jp/

ORCAプロジェクト
http://www.orca.med.or.jp/

 健康保険による診療をしている病院に行くと、必ずレセプトコンピュータ(通称、レセコン)と呼ばれるコンピュータが置いてあります。 レセコンは、診療内容に合わせて保険の点数を計算するシステムです。ORCAプロジェクトでは、このレセコンとして「日医標準レセプトソフト」をオープン ソースで開発/配布しています。
 保険診療は、日本の行政に根ざしたサービスです。日本の病院だけが、レセコンのユーザーです。そのために、レセコンをオープンソースにするには、日本語 の利用許諾契約が必要になるのです。日医標準レセプトソフトは、その特徴として、日本語の利用許諾契約を持つことをうたっています。
 オープンソースで開発されるシステムが増えるに従って、このような日本語の使用許諾契約がますます使われることになるでしょう。

6-1:OpenOffice.orgのソースコードのライセンスは、LGPLとSISSLです

次の資料が参考になります

OpenOffice.orgライセンスFAQ
http://openoffice-docj.sourceforge.jp/tr/temp/faq-licensing.html